支援プログラム

個別相談(保護者相談)

ひきこもりと言っても、様々なタイプが存在しています。基本的には、ひきこもりというものは現象を表している言葉であり、ひきこもり病でもひきこもり症でもありません。本人の性格傾向の問題もありますし、環境の問題もあります。

まずは、現在の状況を客観的な視点で確認していき、家族間の共依存関係が本当に起こっているのかを確認しつつ、過去の生育暦も含めて、ご家族からこれまでの状況をお聴きします。中には、精神障がいや発達障がい等の問題を抱えている当事者もいます。また、ひきこもり状況ではあたりまえですが元気がありません。一見すると、不登校や仕事を辞めた。その原因は「うつ病」ではないかと考えるご家族も多くいます。何もやるべきことが見つからない状況では、見たところ「うつっぽく」見えることも多々あります。

問題は、本人たちが何に対して不安を持ち、何を求めているのかが重要です。

ここに、親と子どもの間に大きな隔たりがあることが良くあります。

ここを客観的に見立てていきながら、適切な支援方法を考えてゆき、必要に応じて家庭訪問等の必要性なども考えていきます。

医療機関等に相談に行ってよく聞く話は、家庭暴力や昼夜逆転、潔癖症を前後の脈絡を捉えないで、一箇所の問題だけを捉えてしまうと偏った見立てになってしまいます。そのような見立てから支援をはじめると有効な働きかけにはなっていきません。

家族の視点と専門家としての視点の違いは意外と大きいのです。

ひきこもりにはひきこもり特有の行動パターンがあります。それを的確に捉えることにより、精神病等の治療が必要なものとの鑑別もできていきます。点で見ては駄目なのです。

当法人の保護者相談においては、ひきこもり相談・訪問支援を数多く担当してきた支援者が、実際に家で起こっている事実関係を精査しながら、ひきこもっている当事者の状況を推測して行き、支援方針を立てていきます。

ひきこもり状況で起こりうる事とそうでないことを基準に状況を捉えます。

たとえば、暴力的なことがあるのであれば、発端となる出来事があるのかないのか?などは重要なポイントになります。夜中に、突然大声を出して暴れだすといたことがあれば、何かしら精神的な問題が潜んでいる可能性が有ります。親に対しての暴力も、基本的には怪我をさせないように手加減しています。それが、大怪我をするような暴力に発展しているとなれば、理性の働きがどこか悪くなっていることが想像できます。こうなると、医療も必要対象と考えなければなりません。しかしながら、多くのひきこもり状況のお子さんたちは、親を“つぶす”ようなことはしません。なぜなら、ひきこもれなくなるからです。依存しているということは、親のことを頼りにしているし、甘えてられる唯一の存在と捉えているからです。

親に見離されたくない想いも含めて、適度の荒れ方で、親に現状を維持させるように動いていくのがご本人たちの動きです。

物事に対するこだわりも同様です。

何もすべきことがない環境で生活していると、細かいことが気になりだすものです。私たちもそうですが、日常忙しく生活していると、掃除も雑になったり、細かいことは後回しになったりします。ひきこもり状況は、有り余る時間をもてあましている状況です。その中で、気になるものが一つでも出てくれば、とことん気になって仕方有りません。手を洗う行為や入浴が長かったりすることも良く有ります。あるいは、食べ物の産地にこだわりがあったり、音や匂いが気になる方も居ます。このような問題も、ひきこもりという閉鎖的な環境の中で生み出される問題なのか、ひきこもる以前からの問題であるのかでは対応方法が変わってきます。

このようなことを、立体的に判断をしていき、必要な支援策を提案していくのが保護者相談になります。

 

 

▶ 次のステップ:訪問支援(家庭訪問)