
①わたしたちの思いと考え

わたしたちは、学校や社会生活の中で、「何となくうまくいかなかった」「馴染めなかった」など、いくつかの偶然と要因が重なったことで、心が疲弊し、自信を失い、それ以上傷つかないために“一時停止”する選択をしたみなさんを咎めることはありません。むしろみなさんは正しい選択をしたと考えています。
しかし、“一時停止”中に、心とからだを休め回復するはずだった、もう一度学校や社会へ踏み出すための気力を蓄えるためだった…この時間は、気が付けば3年、5年と時が過ぎ、一時停止を決めた頃よりも、今はもっと大きな不安と、現状や自分自身、社会への苛立ち、将来を悲観する気持ちでいっぱいなのでは、と思います。
「これからどうするの?」
「ちゃんと食事だけは摂ってね」
「ネットやゲームばかりしていないで、たまには外へ出掛けては?」
みなさんを心配する家族・きょうだいからの声がけも、そっと机に置かれた就労支援機関の案内や求人情報も、今は素直に聞き入れられない心境ではないでしょうか。これまで関わってきた若者たちからは「このままでいいと思ってはいない。でもうまくいった経験がないから、いろいろ情報をもらっても、何から始めればいいか分からないし、うまくいくイメージが持てないから選べない」といった声を聞きます。
一般的には有益な情報であったとしても、家族・きょうだいからの情報提供やアドバイス故に、素直に耳を傾けることが難しく、また得た情報を整理し、具体的な行動に移すための気力も不足している状態ではないでしょうか。わたしたちは、これまで多くの若者と出会ってきましたが、動きが滞っている状態は同じでも、状況や抱えている課題は個々によって異なります。そのため、様々な視点で情報提供やアドバイスなどを行い、みなさんに「話くらいは聞いてみようかな」「ちょっとやってみようかな」と思っていただけるよう工夫しながら、時間をかけて関係構築に努めています。
社会との“ブランク”は、長いより短い方がいい。でも、あるからうまくいかない、ないからうまくいく、というわけでもありません。でも、多くの若者が、それぞれの居場所や生き方をみつけて卒寮していき、普通の人と同じ生活をしています。わたしたちと一緒にこれからを考えてみませんか。
②わたしたちができること

相談支援
家族・きょうだいとは違い、互いに冷静に客観的に現状を整理し、これからについて一緒に考えます。
訪問支援
相談に出向くのは難しい、会って話すのはまだ無理、という場合、自宅等に伺い、直接またはドア越しに対話しながら互いの理解を深め、現状を整理し、これからについて一緒に考えます。
寮での支援
現状からの脱却を目指し、
- 生活リズムの改善
- 対人面の苦手意識を軽減
- 自分の課題と向き合う
- 就労体験/就職活動
といった目標に取り組もうとする際、家族関係やある程度自由が利く今の環境が、かえって足かせになることもあります。こだわりやしがらみを一旦手放し、環境を変えることは、思っている以上にみなさんの背中を押してくれます。
寮ではゲームやインターネット、携帯を取り上げるつもりはありません。ゲームは人と繋がる、場に慣れる良いツールだと考えています。また、寮は社会に出るための訓練のイメージが強く、自由がない、監視される、と思われがちですが、みなさんと相談しながらカリキュラムを組むので、無理なく活動を始められます。カリキュラム以外の時間は自由で、夜間も外出可能です。ひとりひとり鍵のかかる個室があり、プライベートが確保されます。食事は毎日3食提供されますが、時には外食する人もいます。他団体とのスポーツ交流、夏のキャンプやスキー、福生市七夕まつりへの出店など、イベントも豊富です。
③サポート体制

生活や寮生活に慣れ、進学を目指したい人には、一緒に学校選びや見学へ行ったりします。学校へ行く日の朝は起こしたり、レポートがあれば一緒に取り組みます。職場実習やアルバイトに関心がある人には、一緒に職場実習先へ見学に行ったり、アルバイト探しや履歴書の書き方、面接についてのアドバイスをします。
いよいよ自立を目指して卒業する際は、一緒に物件を探し、引越しの手伝いをすることもあります。その際、金銭面等で家族に相談する場面でも、必要に応じてわたしたちが間に入りサポートします。
また、卒寮後は近隣で一人暮らしをする寮生も多く、近くにある多摩若者サポートステーションで継続的に相談やサポートを受けることができます。