新年を迎えて
2022年1月1日
理事長 河野 久忠
新年あけましておめでとうごいます。
長期化したコロナ問題も若干明るい兆しが見えてきたように感じます。このままの終息を願うばかりです。
コロナの長期化と連動し、孤立・孤独問題も深刻になってきています。高年齢の課題だけでなく、若年者の孤立も多く目にします。不登校も増加傾向で、その延長線でのひきこもり化も懸念されるところです。YSCにおいては、8050問題が話題になって以降、むしろ若年者のご相談が増加しています。これは様々なひきこもり問題が表面化するなか、不登校やひきこもり期間の短い状況で、保護者の方が長期化するリスクを懸念し、早期対応を始めたことによることと考えます。このあたりに関しては、いままで、早期対応の必要性を訴えてきたことが功を奏しているように感じます。その裏側では、長期・高齢化した人々が家族の見守りと言う名のもとに未対応のままである現状もあります。
ひきこもりの孤立状況では、家族関係の理解も重要だと考えます。コロナ禍と言う特殊な閉鎖的な状況下で、親子間の共依存関係も強化されたり、複雑化しているように感じます。適度な家族の距離感が維持できなくなって機能不全に陥ってるようなご相談が多くなっています。支援において当事者のメンタルに配慮していくことは当たり前ですが、ひきこもり状況下での独特な家族関係を理解した上で対応していかないといけないと考えます。
複雑な課題が多くなる中、行政の相談機能も、ワンストップ支援で、一本化される傾向があります。その分、個々の専門性が薄れる可能性があると考えています。孤独・孤立問題の対応に関しは、年代・状況別で分けた対応が必要と考えています。その意味では、2020年秋から八王子市から受託運営している、八王子若者総合相談センター事業は若者(15歳~39歳)を対象としたサービスで、その年代に特化している分、当法人の専門性も発揮しやすいです。このような支援拠点の整備は非常に意義のあることと考え、より一層力を入れているところであります。
さらに、孤独・孤立対策では、居場所に関しても注目されています。この居場所に関しては、スペースにこだわるのではなく、当事者の興味関心のあることを中心に、人と人が緩やかに繋がっていくことのできる中継点として機能させていくことが重要です。スペースにこだわってしまうと、受け入れ対象は限定的になってしまいます。個々に持っている良いところを延ばすためには広く繋がるきかっけが必要と考えます。何かに参加でき、誰かと繋がっていると言う実感を持てることで、それぞれの居場所ができ、孤立化の予防・解消に繋がっていくと考えております。それを実現していくためには、地域の人々に繋いでいく接続役が必要になります。この人材育成も重要な課題と考え取り組んでおります。
当法人の、主たる事業でもあるアウトリーチに関しても重要度が増しています。法人内部でも、ひきこもり状況に対する訪問支援や公的な委託事業系の訪問事業に係っている職員が参加しての、今後必要とされるアウトリーチを考えるプロジェクトチーム発足させました。様々な場面で対応できるように、法人内で実施しているアウトリーチの事例を検討、共有をしています。内閣府や東京都などのアウトリーチ研修等では、生活困窮者支援に係る支援者の参加が増えている実情もあるので、有効な講習プログラムも並行して開発、実施し、関係諸機関との連携強化に努めていきます。
小さなところからですが、YSCでは引き続き、若者が自分らしく力を発揮できる土台を醸成できるサポートを実施していきます。そして、小さくて良いので、人と人のつながりが持てていくける支援をしていきたいと思います。皆様方にも、小さな親切を少しずつ分けていただき、それぞれが、安心できる小さな居場所作りのご協力をいただけると大変ありがたいことです。引き続きご支援の程をどうぞよろしくお願いいたします。